プール遊びでの事故を防ぐには?過去の死亡事故から考える監視体制

保育の安全

夏といえば、子供たちも待ちに待ったプール遊びの季節ですね!

ただ、一歩間違えれば、大事故につながるプール遊び。
危険がないようにと徹底されているはずのプール遊びで、死亡事故が繰り返されています。
これから、子供たちが安全にプール遊びができるように、有効な対策を考えなければいけません。

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プールでの死亡事故(保育園・幼稚園)

やはり、一番最初に見ておきたいのは、プールでの死亡事故です。

事例1:埼玉での4歳児女児死亡事故

さいたま市緑区の「めだか保育園」のプールで女児(4)が24日にうつぶせの状態で浮いて発見され意識不明の重体となっていた事故で、埼玉県警は25日、女児が死亡したと発表した。県警は同日午前、現場を実況見分。業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
県警によると、死亡したのは、同所の赤沼美空ちゃん。同日午前3時50分ごろ、搬送先の病院で死亡が確認された。
美空ちゃんは身長約100センチで、事故当時体調は悪くなかったという。当時は3~5歳の19人がプールに入り、女性保育士2人が付き添っていた。死因は捜査中。
事故を受け、さいたま市は同日午前、同園に聞き取り調査した。

引用元:産経ニュース

この死亡事故では、保育士がプールから目を離した1分間の隙に、女児が溺れました。
目を離した1分間は、保育士はプールの解体作業のために、滑り台の片づけをしていたそうです。

 国はプール活動中の事故を防ぐために2人以上の職員を配置し、うち1人は監視に専念するよう通知している。しかし、同園では監視中の保育士2人が事故発生の3分前からプール内の滑り台の撤去作業を始め、1分間、園児から目を離していた。

引用元:埼玉新聞

また、監視体制について保育士に通知されておらず、当日は3~5歳の異年齢児を同時にプールに入れていたことも明らかになっています。

報告書は「プール監視中はその他の業務を行ってはならない」とし、十分な監視体制が確保できない場合はプール活動の中止も選択肢に入れるよう提言。国の通知を確認したのが園長だけで、ほかの保育士らに周知されていなかった点も課題に挙げた。
プールは園庭の傾斜地に設置され、水深は24~66センチだった。女児は身長1メートル余りで、水深55センチの場所で発見された。報告書はプール活動の目的が水泳指導なのか、水遊びなのか曖昧だったとし、「実施目的と各年齢に適した水深にすべきで、水遊びならば最も背の小さい子どもに合わせるべき」と指摘した。
3歳~5歳の異なる年齢の園児20人を同じプールに入れていた点も「体格差の大きい園児がぶつかった場合、どうなるかはたやすく想像できる。原則禁止すべき」とした。

引用元:産経ニュース

事例2:京都での4歳男児死亡事故

京都市認可保育所「せいしん幼児園」(以下「当該園」という。)において,平成26年7月30日(水)午後2時頃,園の4歳児ひまわり組の児童(以下「当該児」という。)が,園屋上に設置されたプールにおいて他の4歳児の児童ら30名と水遊び活動中,プールの中で,仰向けで水に沈んでいるのを保育士らにより発見された。
当該児は意識不明及び呼吸停止の状態であったため,発見した保育士らにより心肺蘇生法が行われた。その後,救急車により病院へ救急搬送され,当該病院ICUにおいて低体温治療が行われたが,意識を取り戻すことなく,同年8月6日(水)午後6時過ぎに亡くなった。

引用元:京都市認可保育所「せいしん幼児園」に対する調査報告書(PDF)

また、事故当日はリズム指導の講師が来園しており、通常は午前中に行うプール活動を、予定を変更して午後からの活動となっていました。

通常,4歳児クラスのプール活動は午前中に,3クラス一斉に行われていたが,当日はリズム活動の時間が予定より長くなったため,食事を終えて,午後からプール活動を行うこととなった。
ひまわり組児童のうち1名が食事後,嘔吐したため,食事終了がたんぽぽ組より遅れ,ひまわり組はたんぽぽ組より遅れて屋上に上がった。また,ゆり組は午後からリズム活動が行われることとなった。その結果,通常と異なり,午後からクラスごとに時間をずらしてプール活動を始めることとなった。

引用元:京都市認可保育所「せいしん幼児園」に対する調査報告書(PDF)

この事故では、プールの監視体制が不十分であり、監視員としてプールサイドにいた保育士も、プールの記録を取っていたなど、子供に十分目が行き届いていたとは言えない状況でした。

事案が発生した時間帯については,プール活動を担当していた職員はひまわり組・たんぽぽ組の担任保育士2名(渡り廊下を挟んだ西園舎屋上にいた用務員1名は床清掃をしていた。)であり,屋上にいた児童はプールに入っているたんぽぽ組・ひまわり組の30名,プールの外で待機していたプール見学の3名の他,ゆり組18名の児童であった。
また,プール内の児童を見ていた者はたんぽぽ組担任1名であった。
ひまわり組担任はおもちゃの入っていたカゴを屋上入口付近に戻し,プール日誌にたんぽぽ組担任の記載した気温等の記録を転記し,児童らを視野に捉えていなかった。ゆり組担任は,児童を屋上で待機させた後,プール活動の可否について園長に判断を求め,了解を得るため,1階事務室に行くためその場を離れていた。
また,事案発生時以前にも,ひまわり組担任はゆり組担任が屋上に上がってきたのを見て,その場を離れ,保育室に戻っている。プール活動における職員の役割分担が不明確であったと言わざるを得ない。

引用元:京都市認可保育所「せいしん幼児園」に対する調査報告書(PDF)

この事故の報告書には、事故の状況を写真や図を交えて詳しく記載しています。
プール活動が始まるまでに、一度目を通しておきたいものです。

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事故を防ぐための監視体制を整える

プールの事故を受け、監視を強化するという対策をしている園も多いでしょう。
しかし、プールの監視を間違えていませんか?

ただ、監視をすればいい、というのではなく、事故を未然に防ぐための監視が必要になってくるのです。

過去の死亡事故から、具体的な監視の方法を考えていかなければなりません。

プールの指導員と監視員の明確な役割分担

1クラスから2クラスの幼児を、2人の保育者でプールを見ている園もあります。
指導者がプールの中に1人、プールの外にいる監視員が1人の体制です。

厚生労働省からも、プール活動における監視体制について、通達がされています。

しかし、2人以上の保育士の配置があっても、指導員と監視員、という明確な役割分担をしていなければ、それぞれの保育士が自分本位に保育をすることとなり、プールの近くにいる保育士全員がプールから目を離してしまう、という状況が生まれかねません。

その日のプール担当を決め、指導員1名、その他の保育士は監視員、など、あらかじめ役割分担を決めておくことが大切です。

(1) プール活動・水遊びを行う場合は、監視体制の空白が生じないように専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、また、その役割分担を明確にすること。

引用元:保育所、地域型保育事業及び認可外保育施設においてプール活動・水遊びを行う場合の事故の防止について

監視員はできれば2人以上の配置を

子供の人数によりますが、1人でプールを監視するには無理があるのではないかと思います。
私自身の経験からも、監視員として幼児クラスのプールを1人で監視していましたが、監視を怠らないという気持ちとは裏腹に、目が行き届いていない場所があるのでは、事故が起こってしまったらどうしようと、常に不安な気持ちがありました。

プールの大きさや子供の人数にもよりますが、1人でクラス全体を100パーセント監視することは不可能に近いと言わざるを得ません。
特に、子供が自由に遊んでいる時間は、たった5分でも子供の動きが把握できない事もあります。

もちろん、通達では、監視員はくまなくエリアを監視するとしていますが、実際の保育の現場を思い返してください。
子供たちに話しかけられることもあるし、突然鼻血を出すこともあるし、子供の予期せぬ行動もあります。

できるだけ指導員が対応していたとしても、監視員が1人だけだと対応できない事もあるのが実情です。

できれば、指導者以外に2人以上の監視員を配置し、場所ごとに区切って監視するようにしましょう。
監視エリアをしっかり区切ることで、子供の動きを把握しやすくなり、監視がしやすくなります。

用務員から管理職まで、その日に手が空いている人は、全てプールの監視や手伝いをしている園もありますよ。

監視員は監視以外の行為をしない

プールの横で日誌を書いたり、電話や来客の対応をしていませんか?

監視員は、プールから目を離してはいけません
しかし、プール用品の片付けをしていたり、プール日誌を書いていたり、職員不足の日は監視員が電話を持って監視をしている園などもあるそうです。
片付けをしたり日誌を書いたりしている人や、電話や来客対応をしている時間は、監視をしているとは言えません。

指導者も、監視員にこれをして欲しいとお願いするのではなく、監視に徹底できるような体制を作りましょう。
プール内で使用するおもちゃや用具なども、プールの近くに置いておき、指導者が自分で用意して使用しましょう。

(2) 事故を未然に防止するため、プール活動に関わる保育士等に対して、児童のプール活動・水遊びの監視を行う際に見落としがちなリスクや注意すべきポイントについて事前教育を十分に行うこと。
なお、ガイドラインでは「プール活動・水遊びの際に注意すべきポイント」として、以下の点を示している。
① 監視者は監視に専念する。
② 監視エリア全域をくまなく監視する。
③ 動かない子どもや不自然な動きをしている子どもを見つける。
④ 規則的に目線を動かしながら監視する。
⑤ 十分な監視体制の確保ができない場合については、プール活動の中止も
選択肢とする。
⑥ 時間的余裕をもってプール活動を行う。 等

引用元:保育所、地域型保育事業及び認可外保育施設においてプール活動・水遊びを行う場合の事故の防止について

乳児は水深が5cmでも溺れることを理解しておく

乳児のプールの場合、水深も浅く、泳ぐというより水遊びだから大丈夫、と油断していませんか?
乳児は、水深が5cmでも溺れる事があることを常に意識するべきです。
なので、ただの水遊びとは思わず、常に危険を意識して活動を行わなければなりません。

乳児が水遊びをしている時も、必ず子供から目を離さず、人数確認をしていかなければなりません。

乳児であれば、クラスの人数によっては保育士の配置も多くなりますが、気を緩めることなく、しっかりと監視しなければなりません。

異年齢児での活動は条件を考慮する

園に設置された小さなプールに、子供たちが一斉にプールに入るのは、混雑もあり危険があります。

ましてや、異年齢児での活動となると、体格の小さい低年齢児にとっては、押されて倒れたり踏まれたりして、溺れる危険性が増えます。
また、体格の大きな子供に阻まれて、小さな子供の監視が甘くなってしまう危険があります。

異年齢児でのプール活動は、できるだけ避けるべきでありますが、それでも縦割り保育などで異年齢活動でのプールを行う場合は、特に監視体制を強化したり、時間ごとに区切って少人数ずつ入るなど、プールでの活動の余裕と監視しやすい体制を整えることが必要です。

乳児と幼児は、一緒に入らないようにしましょう。

落ち着いてプール活動を始められるように

事例1,2の両方の事故でも、午後からの活動で死亡事故が起きています。
時間帯は偶然でしょうが、共通していることは、バタバタとした保育活動の中でプール活動を行っていることです。

もちろん、少しの時間でも、楽しいプールの時間を作ってあげたい、という保育者や園としての、子供に対する思いもあると思います。
しかし、安全を考慮してプール活動を行わない、という選択肢をもつことも大切ですよね。

保育計画の中で、保育士の監視体勢がしっかり行える日に行う方がいいでしょう。
また、午前中の方が子供の健康状態を把握しやすく、食事後や午睡後は体調の変化があることもあろうかと思います。

子供だけでなく、保育者も落ち着いた状態でプール活動を始められるようにしましょう。

救護活動の訓練もしておく

もちろん、事故は未然に防ぐことが大切です。
しかし、何か起こった時、また予測不可能な出来事が起こった時など、すぐに対処していかなければなりません。

ヒヤリ・ハットも集めていくようにしましょう。

心肺蘇生法はもちろんのこと、119番通報の方法、園内での伝達体制など、緊急事態が起こった時に、どのように対応していくべきかをマニュアル化し、整理して日頃から覚えておくことが大切です。
もちろん、事故が起こった園児の救護が一番ですが、二次被害を防ぐために、他の園児への対応なども、シミュレーションしておかなければなりません。

また、AEDの使い方なども、一定期間ごとに研修を設けたり、電源が入るかどうかなども日頃から点検し、いちでも使えるようにしておくことが大切です。

119番通報では、園の住所と電話番号を伝達する必要が出てきます。
日頃から保育士が誰でも住所と電話番号を言えるようにしておいたり、目につくところに掲示しておいたりするといいでしょう。

心肺蘇生の方法については、研修を受けた保育士も多くいると思います。
こちらに詳しく方法が載っていますので、目を通しておきましょう。

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事故を防いで楽しいプール活動にしよう

子供たちは、プール遊びが大好きです。
その分、いつもより興奮しすぎて、予期せぬ行動をとってしまう園児が多いのも事実です。

子供たちにも事前にルールを離したり、水の危険性についても伝えた上で、危険な行動を減らしていくような声掛けも、常にしておきましょう。

その上で、保育中に子供たちの命を守れるのは、保育者しかいないこと。
楽しさや忙しさよりも先に、子供の命を守ることを優先すること。

この意識をしっかりもって、プール遊びに取り組むようにしましょう。

プール活動が始まる前に、職員会議ではもちろんですが、クラス内でも役割分担をしっかり決めておき、話し合いの時間をしっかり設けてから始めるようにしましょう。

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