5月5日はこどもの日ですね。
4月に入り園生活に慣れ始めた頃、こいのぼり製作などが始まることと思います。
今回は、こどもの日の由来やねらい、導入に使える絵本、製作のアイデアなどをお伝えしていきます。
こどもの日って?
子供の日は、かつては男の子の健やかな成長をお願いする「端午の節句」と呼ばれていました。
端=初め、牛=五、という意味合いがあり、5月5日がこどもの日となりました。
1948年に公布された国民の祝日に関する法律によると、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」という意味の祝日となっています。
また、5月5日から11日までは児童福祉週間として、児童の福祉について考える期間でもあります。
こどもの日には五月人形やこいのぼりを飾ります。
五月人形とは、鎧兜や刀、武者人形、金太郎などを模したもので、こちらは室内に飾ります。
鎧兜は男の子の身体を守るもので、武者人形は「尚武」と言われ、強さを表しています。
こいのぼりは、庭前に飾りますね。元々は、江戸時代の裕福な庶民の家庭で始まった習慣です。
昔、中国の故事で、多くの魚が失敗した黄河の竜門と言われる滝登りを、鯉だけが登って竜になった、という話があり、「立身出世のシンボル」としてあがめられたことが、こいのぼりを飾る由来になったと言われています。
また、カシワの木は新芽が出るまで古い葉が落ちないという事から、柏餅は「家系が絶えない縁起物」として広まっていきました。
こいのぼりの意味を知ろう
こいのぼりは、真鯉、緋鯉、子鯉、吹き流し、矢車からできています。
真鯉
真鯉は、黒い鯉を表しています。
緋鯉
緋鯉は、赤い鯉を示しています。
こいのぼりの歌では、「♪小さい緋鯉はこどもたち~」と歌うので、緋鯉は子供と言う意味で教えているかもしれませんが、真鯉と緋鯉の違いは、実は色の違いです。
子鯉
元々は真鯉と緋鯉の対で、こいのぼりは掲げられていました。
昭和時代からは、こいのぼりは家族を表すものとして、真鯉や緋鯉よりも小さい子鯉も一緒に飾るようになりました。
一般的なこいのぼりは、真鯉、緋鯉、子鯉の3つが飾られていますね。
吹き流し
元々、武家では男の子が生まれると幟(のぼり)を立ててお祝いしました。
吹き流しは、その習慣から派生したものとされています。
吹き流しは、赤、青、黄、白、黒の5色でできており、この色は古代中国の「五行説」によると、万物を表すものとされています。
つまり吹き流しは、この5色が同時に存在することで、「子供を悪いものから守る」という魔除けの意味があるそうです。
矢車
こいのぼりの先端についているものは、実は風車ではなく「矢車」と呼ばれるものです。
矢車は、回転するかごの部分と矢の部分からできています。
かごの部分は、元々は「駕籠玉」と呼ばれるもので、江戸時代のかごを示しています。
矢の部分は、武将に由来しているとされています。
かごの中に入った武将、つまり、強さを表すものとして、矢車が飾られています。
ねらい
保育における日本の伝統行事のねらいは、「伝統行事の意味を知り、親しみを持つ」ことです。
こどもの日も同様に、大きなねらいとしては、「こどもの日について知り、こいのぼり製作やこどもの日のを通して親しみを持つ」ことですね。
それぞれの活動に合わせて、また、年齢に合わせて適切なねらいを設定しましょう。
導入
こどもの日について、乳児や低年齢児には楽しくわかりやすい説明を心がけましょう。
こどもの日というのはね、みんなが元気に大きくなりますようにってお願いする日なの。
こいのぼりって知っているお友達はいるかな?
大きな鯉っていうお魚の飾りをお外に飾るんだよ。お空の風でひらひらと泳いで、とっても気持ちよさそうだね。
こいのぼりは、みんなが大きくなりますようにと、こどもの日にお願いするために、飾るんだよ。
最初は、男の子だけのお祝いだったんだけど、今は、男の子も女の子も、みんなの元気をお願いする日。
お外で泳いでいるこいのぼりさんを見つけたら、元気だよー!って手を振ってみてね。
幼児では、保護者への感謝の気持ちも合わせてわかるように説明しましょう。
そうです。こどもの日という、お休みの日ですね。
こどもの日は、元々「端午の節句」と言って、男の子が元気に育ちますようにとお願いする日だったんです。
女の子の元気をお祝いする日は、「桃の節句」という、ひな祭りでした。
今では、こどもの日もひなまつりも、男の子も女の子も、みんなの元気をお祝いする日になりました。
こどもの日に飾る「こいのぼり」はね、昔、中国という国では、鯉が滝を登って竜になったという伝説があって、強くなりますように、立派な大人になりますように、という意味をこめてこいのぼりを飾るんです。
こいのぼりは、鯉だけなく吹き流しや矢車というのも一緒に飾るんです。これはね、魔除け、悪いことが起こりませんように、という意味があるんだよ。
ひとつひとつ、また一緒に見ようね。
みんなのお父さんやお母さん、おじいちゃんもおばあちゃんたちは、みんなが赤ちゃんになって生まれた日から「おめでとう!」と、みんなが産まれてきたことを喜んでいました。
そして、大切に育ててくれたから、みんなここまで大きくなれたんだよね。
こどもの日は、大人はこどもの成長をお願いして、こどもはお母さんやお父さんに「ありがとう」の気持ちを持つ日です。
こいのぼりを作ったりしながら、お母さんやお父さんに「ありがとう」の気持ちが持てたら、とても素敵だね。
絵本
こどもの日の導入などに使える絵本を紹介していきます。
こいのぼりぐんぐんこどもの日!
こちらは、最近の行事絵本の定番になりつつある、ケロポンズの増田裕子さんが作られた絵本です。
病気がちな”たつや”は、こいのぼりのアオに誘われて、空の旅に出ます。
滝に登って竜になろうとしたアオでいたが…。そこからたつやが大活躍!強くなっていきます。
こどもの日やこいのぼりなどの由来も書かれている豆知識ページもあります。
3歳から楽しめる絵本になっています。
げんきにおよげこいのぼり (行事の由来えほん)
こちらは、定番の行事絵本です。
どうしてこいのぼりをあげるのか…など、江戸時代の武将の頃の、時代背景と共に教えてくれます。
3歳児では少し難しいかもしれませんが、年中、年長で楽しめる絵本になっています。
こいのぼりくんのさんぽ
こちらは、2歳くらいから楽しめる行事の絵本になっていますので、乳児さんにも読んであげられますよ。
こいのぼりくんが空を散歩していると、ねこさんがやってきてこいのぼりくんに乗ります。
でもね、ねこさんは楽しくてはしゃぎすぎてしまって…。
気持ちよさそうに空を散歩するこいのぼりに、こどももくぎ付けの1冊です。
とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり
こどもたちって、替え歌が大好きですよね。
「やねよ~り~ひ~く~い」なんて歌ったら、みんな大爆笑!
ちょっとふざけて歌ってしまう子も出てきますが、それもご愛敬。
こどもたちが楽しみながら、こいのぼりを見れること間違いなしです!
年中行事のペープサートシアター
こちらは絵本ではありませんが、年中行事のペープサートのアイデアが載っています。
ペープサートなら乳児や低年齢児から楽しめますので、是非作ってみましょう。
こいのぼりが終わっても、他の行事にも使えて便利です!
製作
ここからは、こいのぼり製作のアイデアをご紹介していきます。
染め紙
染め紙をして、こいのぼりの形にします。
真鯉は青系、緋鯉は赤系の色で染めるといいですね。
画用紙
画用紙のこいのぼりは、様々にアイデアが膨らみますね。
画用紙には、ペンでなぐり書きしたり、スタンプを押したり、シールを貼ったり、パスで模様を描いたり…。
様々なアイデアが浮かびますね!
台紙に貼って
台紙にこいのぼりの形の画用紙を貼ります。
ポールにくくりつけて
園によっては、工作キットとして、手持ちのポールを用意するかと思います。
画用紙で作ったこいのぼりに、小さな穴を空けて、紐などでくくりつけましょう。
専用キットがなくても、こいのぼりの重さに耐えられるのであれば、ストローでも代用できますね。
トイレットペーパーの芯・紙コップ
身近にある素材として、トイレットペーパーや紙コップを使ったこいのぼりも可愛いですね!
トイレットペーパーの芯や紙コップに折り紙を巻き付けて、シールを貼れば、乳児さんでも簡単に作ることができますよ。
鱗(うろこ)のアイデア
こいのぼりの鱗ですが、幼児では、こいのぼりを子供たちと一緒に観察し、どんな形だったか、模様だったかなど、子供たちの発想に任せて作るのも面白いですね!
乳児から使える、鱗のアイデアを考えてみました。
鱗の形の画用紙を貼る
一番わかりやすいのは、保育者が切った画用紙を貼ること。
2歳児くらいからできる製作内容ですね。
うろこにパスなどで模様を描いても、可愛くなりますよ!
ペンでなぐり書き
画用紙にペンでなぐり書きをします。
こいのぼりがわからない乳児でも楽しめる製作になっており、主に0歳児から1歳児におすすめです。
スタンプを押す
消しゴムスタンプや紙粘土スタンプを保育者が用意して、絵の具でスタンプ遊びをします。
消しゴムでは彫ったもの、紙粘土では形を工夫しながら、色々なスタンプを用意しておくと、子供たちも楽しんで製作ができますね。
主に2歳児から3歳児におすすめです。
色々な形の画用紙や折り紙を貼る
構成遊びの一環として、丸や三角、四角など、様々な形に切っておいた画用紙や折り紙を組み合わせて貼ります。
色も様々に用意しておき、子供たちが自分で選んで貼れるようにしましょう。
保育者が用意したものを貼るのであれば、2歳児から楽しめるようになっています。
画用紙に模様を描いて切る(4歳児~)
乳児や低年齢児には難しいですが、白の画用紙にパスや絵の具で鱗をひとつひとつ描き、はさみで切って貼ります。
画力もさることながら、こいのぼりを観察する力や想像する力が必要になってきます。
吹き流しのアイデア
吹き流しは、5色で表現されています。
正しい色(赤、青、黄、白、黒)でもいいし、子供たちに好きな色を選んでもらってもいいでしょう。
切った画用紙を貼って巻く
細めに切った画用紙に、吹き流しの5色の画用紙を1枚ずつ貼り付けます。
貼り付けられた画用紙を巻いて完成です。
5色の画用紙は、色付きの画用紙でもいいし、白の画用紙にパスや絵の具で塗ってもいいでしょう。
色を塗った画用紙を切って巻く
白の画用紙に、パスや絵の具で5色、塗ります。
保育者が画用紙に塗る場所の線を書いておいてもいいし、子供たちに自分で書かせてもいいです。
塗れたら、色と色の境目を、切り落とさない程度に切り、切らなかった部分を巻いて完成です。
クラスで一つのこいのぼりを作る
新年度が始まり、バタバタとした中でやってくるこどもの日。
無理にひとりずつの制作を行わなくても、クラスで一つの作品を作っても面白いですね。
大きな模造紙やカラービニールなどに、子供がつくった鱗を貼り付けます。
壁面として飾ってもいいし、こどもの日の集会などで園庭に飾り付けてもいいです。
みんなで作った作品なら、大きさもあって迫力も出るので、子供たちも喜んでくれますね。
まとめ
こどもの日は、新年度が始まって初めての年中行事ですね。
こいのぼり製作も、バタバタとする毎日の中で行なわなければなりません。
4月は、特に新入園児にとっては心の安定が一番です。
無理せず、決して背伸びをしない製作内容を心がけましょう。
また、先生もみんなの成長を楽しみにしている事も伝えながら、法律にも制定されているように保護者への「感謝」の気持ちも持てるようになるといいですね。
こいのぼりの歌をうたいながら、楽しく製作したり集会に参加できるようにしましょう。
参考図書はコチラ
☆年中行事なるほどBOOK
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