公立幼稚園は、自治体が設立、運営している幼稚園のことです。
公立幼稚園の正規職員は地方公務員という扱いになるので、待遇面で優れているという点があります。
公立幼稚園について詳しく見ていきましょう。
公立幼稚園って、どんな所?
公立幼稚園は、その名の通り、市町村あるいは都道府県といった自治体が運営している幼稚園です。
職員
全員が公務員というわけではなく、非正規職員もいますが、幼稚園は乳児保育がないので、非正規職員の割合は公立保育園と比較して少なくなります。
採用試験
採用試験は、それぞれの自治体が行う試験を受けます。
正職員
自治体が実施している公務員試験を受験します。
この2パターンがあり、自治体によって異なります。
もちろん、保育の専門試験だけではなく、一般教養などの試験もあります。
また、実技については、実施している自治体と実施していない自治体があります。
公務員試験は、私立の採用試験より難易度や倍率も高くなります。
非正規職員
自治体が実施している試験や面接を受けます。
非正規職員の採用試験は、公務員試験ではないので、一般的な公務員試験はなく、面接だけという場合もあります。
ただし、非常勤講師など、雇用形態によっては、実技試験がある場合もあります。
受験資格
受験資格は、もちろん幼稚園教諭免許状です。
その他、勤務形態によってさまざまです。
正職員
幼稚園教員免許が必須です。
ただし、幼保一体化が進み、幼稚園教諭だけでの採用は減少傾向にあります。
よって、正職員の試験を受けるには、保育士資格も必須になっている事が増えてきました。
また、年齢制限を設けている自治体が多く、25歳までの自治体もあれば、35歳くらいまで受験できる自治体もあります。
昨今の流れを受け、年齢制限を撤廃している自治体も増えてきています。
また、幼小一括採用をしており、小学校教諭の免許状が必要な自治体もあるようです。
非正規職員
幼稚園では、低年齢児の加配教諭と、特別支援児への加配教諭として、非正規職員が採用されています。
また、産休代替職員として非常勤講師が必要な場合もあり、幼稚園教諭免許は必須の自治体が多いです。
それぞれの自治体によって、採用している条件が異なりますので、求人ごとに確認する必要があります。
合格について
公務員試験に合格すれば、公立幼稚園教諭になれるわけではありません。
まずは採用候補者名簿に記載され、試験の合格上位の人から採用されます。
候補者名簿には期限があり、期限内に採用が決まらなければ、不合格と同じく、公立幼稚園教諭になることはできません。
配属
配属先の幼稚園は運営する自治体が決定します。
3年から5年に1回くらいの割合で、配属先が変わります。
いわゆる異動です。
また、幼保採用の場合は、幼稚園だけでなく、保育園への異動もあります。
正職員だけでなく、非正規職員にも異動がある自治体が多いです。
給与
給与は、所属する自治体の公務員と同じです。給与の他に、地域手当がプラスで支給されます。地域手当は地域によって、給与の◯%と決められており、大都市だと15%以上になりますが、地方の小さな都市だと3%以下と、かなり開きがあります。
幼稚園教諭として教員採用をされた場合は、残業代は支給されない代わりに教育調整額が支給されることがあります。
賞与(ボーナス)は、期末手当・勤勉手当と呼ばれ、夏と冬に1回ずつ支給されます。
休日・休暇
自治体の公務員と同じ待遇です。
基本的には週休2日が確保され、行事で週休2日が出来なかった時は、時間外手当が付きます。
その他、有給休暇、夏期休暇などの各種休暇面もしっかり規定されています。
公立幼稚園の特徴
私立の幼稚園教諭からは羨ましいと思われている事もある、公立幼稚園教諭。
公立幼稚園の特徴から、メリット・デメリットを考えていきましょう。
幼稚園教育要領に沿った保育
公立幼稚園では、一部の私立幼稚園のように行事がたくさんあるわけではなく、日々の子供の保育を大切にします。
自治体が決めた保育の方針に従い、保育計画が立てられます。
公立幼稚園教諭は、私立の幼稚園教諭に比べると園内研修や研究保育を行う機会が多く与えられているます。
日々の子供の保育は豊かになり、保育者として子供の捉え方を勉強する時間は多くなりますが、私立のような独自性のある保育はあまり行われません。
ただ、日々の保育は常に、遊びを通した学びを実践しているので、保育者としての資質も高くなります。
給与が私立よりも高い場合が多い
給与面では、公務員ということもあり、私立幼稚園より高い場合が多いです。
私立でも園によっては高給の場合もありますが、平均的には給与体系が優れている場合が多いです。
また、若手の間は私立と差がなくても、勤続年数が長くなると、給与の差が開く傾向に。
公立だと、昇給制度がしっかり定められているので、勤続年数と共に、お給料が高くなっていきます。
ただ、一部の私立幼稚園は、給与が高く設定されているので、必ずしも公立幼稚園の方がお給料がいいとは限りません。
休日がしっかり確保されている
基本的には、週休2日です。
公立幼稚園は基本的に土曜保育はありませんが、行事等で土曜日に保育があると、だいたい次の平日が代休になり、休園となる場合が多いのです。
また、有給休暇の消化率も私立よりは高くなっていますが、公立保育園よりは有給休暇を取りにくい傾向がみられます。
ただし、各種休日は保証されています。
自治体によって、大きな差があります。
長期休暇は私立幼稚園のようにお休みにならず出勤し、夏季休暇や年末年始休暇をもらいます。
異動がある
もし、合わない上司や同僚がいても、必ず異動があるので、数年我慢すれば状況が変わる可能性が高いのです。
上司や同僚に変化が少ない私立幼稚園より、長く続けるという点では有利になります。
しかし、異動があるということは、メリットにもデメリットにもなります。
いい上司や同僚に出会ったとしても、ずっと同じ環境が続かないからです。
また、自分が異動すると、引き続き子供の成長を見守ることが出来なくなります。
異動先でもまた、保護者や子供たちとの信頼関係も一から構築していく必要があります。
落ち着いた環境でずっと保育を続けていくことは難しくなります。
採用が少ない
人件費が高いと言われている公務員。
産休代替職員などは、非常勤講師や嘱託職員を雇用するなどして、正職員の採用を減らす傾向があります。
また、少子化や女性の社会進出により、幼稚園に通う子供の絶対数も減少しており、一部の公立幼稚園は廃園になったり統合されたりして、自治体での採用数が減ってきています。
正職員を目指す者にとってはハードルが高くなり、公立保育士よりもさらに狭き門になっています。
書類仕事が多く、残業も多め
園内研修や研究保育、各種研修会への参加の機会は、公立幼稚園が一番多くなっています。
そのたびにたくさんの書類を作成し、時にはプレゼンテーションやディスカッションなども交えて保育を研究します。
公立幼稚園教諭は、行事の準備は私立幼稚園に比べると少なめですが、日々の保育の準備に加え、書類仕事に追われている人が多く、残業も長めになっている自治体もあります。
公立幼稚園はこんな人が向いている!
以上の特徴から、こんな人には公立幼稚園にメリットがあります。
逆にこんな人には、公立幼稚園は向いていません。
自分に合った園に就職し、長く保育の仕事を続けてくださいね。
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