年長児や年中児の劇として、人気の高い作品の一つにそんごくう(孫悟空)がありますね。
孫悟空は、16世紀ごろに完成した中国の小説『西遊記』の主人公で架空の人物です。
天竺へ向かう三蔵法師は、モデルとなる人物がおり、唐の時代に中国からインドへ渡り、仏教の法典を持ち帰った人物です。
三蔵法師が天竺へお経をもらいに行くまでの苦難を、孫悟空や猪八戒、沙悟浄たち仲間と乗り越えていく物語です。
岩山に挟まれたまま500年後に助けられた孫悟空‥もちろん、西遊記はフィクションです。

そんごくう(西遊記)を生活発表会の劇にする時の参考図書と、台本や衣装、大道具などの様々なアイデアを紹介していきます。
そんごくう(西遊記)の参考図書
保育で使えるそんごくう(西遊記)の参考図書には、次のような物があります。
まずは、火炎山(火焔山)の場面のオペレッタです。CDは別売りです。
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ダンスバトルになっていて楽しいオペレッタです
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こちらは、楽譜がありませんが、金角・銀角も収録されたCDです。
台本のアイデア
西遊記の原作は、全100回に及ぶ壮大な物語。
そんごくうを劇にしようと思った時、すべてを描くのは難しいですね。
なので、要点をまとめながらも、劇の制限時間によって、思い切って一場面を切り取って劇にしていく台本が必要になります。
多くの参考図書で載っているお話は、火炎山のシーンです。
年中児だったら、このままの台本でいいと思います。
あまり話を詰め込みすぎると、難しい部分を理解できない子がたくさん出てきます。
年長児の場合、時間が許されるのであれば、2つのシーンを組み合わせることも可能です。
◎孫悟空が天界で大暴れするシーン
◎孫悟空と三蔵法師の出会いのシーン
◎猪八戒や沙悟浄との出会いのシーン
◎金角、銀角のお話
◎火炎山のお話

2クラスで演じることが出来るならば、前編と後編に分けても面白いですね!
孫悟空の出会いのシーン
孫悟空は仲間と一緒に三蔵法師をお守りし、天竺へと向かいます。
そこに至るまでには、石から生まれた孫悟空が地上で悪さばかりするので、天界の役人にさせられるのですが、その仕事が嫌で逃げ出したり‥と、孫悟空の傍若無人さが描かれます。
物語の序章と捉え、簡単に、でも見どころを作るの方法もあります。

幕が開く前に、ダイジェスト方式で、ナレーター役や村人役が、いろいろな小物を持って物語を紹介しても面白いですね。
他にも、お釈迦様の手のパネルに、”孫悟空”と書くシーンなどは、面白く見所を作ることもできます。
そこに、お釈迦様役が出てきて、孫悟空を岩山に閉じ込める‥、という1シーンが出来ますね。
また、お釈迦様に怒られた孫悟空が、石に挟まれたまま、500年後に通りかかる三蔵法師に助けられたことにより、旅が始まります。

天竺への旅をメインにするならば、岩山に挟まれた孫悟空のシーンを、スタートにしてもいいでしょう。
猪八戒と沙悟浄との出会いのシーンは、ひとりひとりとの出会いを描く時間がなければ、2人同時に出会いのシーンを作ってもいいかと思います。
旅の途中のお話
孫悟空のお話で人気があるのは、金角・銀角のお話と、火炎山のお話。
金角・銀角は、大きなひょうたんパネルを作って、ステージを左右に分け、吸い込まれる様子を子供たちに演じてもらうと、見ている人もわかりやすいと思います。

ただ、特に劇におすすめは、火炎山です。
というのも、戦いのシーンで見所を作りやすいことと、偽物の芭蕉扇を渡すなど、子供たちが物語を理解しやすいからです。
この戦いを、じっくり見せるのもいいかと思います。
孫悟空たち一行の他、牛魔王とらせつ女、その家来として火の精など、登場人物を増やして物語を盛り上げていきます。
火炎山のお話だけを劇で切り取るのであれば、出番の多い孫悟空、三蔵法師、猪八戒、沙悟浄の4人を1グループとして、前編と後編で配役を変えるのがいいでしょう。
牛魔王とらせつ女にも見所を。
例えば、偽物の芭蕉扇を貸す時に、ハエに化けてらせつ女のお腹の中に入った孫悟空とのやり取りのシーン。
らせつ女に『いたいよー‥』と言って演技をしてもらい、見どころにするのもいいと思います。
らせつ女だけの見所を作れるのがいいですね!
もしくは、牛魔王とらせつ女が2人セットで孫悟空たちと戦うのもいいと思います。
そうしてある参考図書やCDが多いかと思います。

牛魔王は孫悟空との変身大会を、面白くしてもいいかと思います。
変身戦いをしているステージ後方で、猪八戒や沙悟浄とらせつ女たちも戦わせれば、たくさんの子供たちの出演時間を増やすこともできます。
そんごくうの登場人物と衣装のアイデア
では、そんごくう(西遊記)の劇に登場させる人物を考えていきたいと思います。
切り取る場面によって、配役を考え、人数を割り当ててください。
また、衣装のアイデアも紹介します。

衣装を考える時は、簡単に絵を描いてみると、イメージが湧くし、他の役との衣装被りも減ります。
孫悟空(そんごくう)
石から生まれた石猿の孫悟空。
出番が多いので、複数人で演じたり、前半と後半に出番を分けたりするのがいいでしょう。
衣装は、個人的には赤がおすすめ。
オレンジも可愛くていいですが、漫画に出てくる孫悟空みたいになりがちです。
お腹のベルトは、100円均一に売っている、黒い荷物用バンドを腰に巻いても、十分と孫悟空っぽさがでますよ。
金の輪ですが、色々な作り方があります。

おでこの辺りのくるんとした感じを表現できると、孫悟空の衣装が生えますね!
武器はもちろん、如意棒(にょいぼう)です。
先端に丸い物をつけると、如意棒っぽさが演出できますね!
三蔵法師(さんぞうほうし)
お釈迦様に命じられて、天竺までありがたいお経をもらいにいきます。
三蔵法師も出番が多いので、人数を増やしてもいいと思いますが、三蔵法師は戦わないので、孫悟空たちとは別の見どころが必要です。

岩山からお札を取ってあげたり、最後にお釈迦様にお経をもらったりするシーンがあるといいですね。
衣装は、白っぽいのがおすすめ。
白に金や黄色をふちどった王冠を作って、頭に被せます。
帯やズボンに、差し色の黄色やクリーム色を入れると、より三蔵法師っぽくなります。
紫でも、僧侶の雰囲気が出せますね!
三蔵法師は、錫杖(しゃくぞう)という、修行僧が持つ杖を持たせるといいですね!
猪八戒(ちょはっかい)
猪八戒は元は天界の役人でしたが、罪を犯して豚にされていまいました。
孫悟空たちと罪を償いながら、天竺まで三蔵法師のお供をします。
人間の体をしていますので、厚紙などで作ったヘアバンドに、豚の耳をつけてあげると、女の子でも可愛く演じることができますね。

衣装は、紺やピンクを合わせてみました。
茶色なんかも豚っぽさが出ていいですね。
猪八戒の武器は、馬鍬の形をしたもので、釘鈀(ていは)というもの。
歯がたくさんついているもので、田んぼや畑の土ならしに使うものだそうです。
9個の歯が付いています。
沙悟浄(さごじょう)
沙悟浄も猪八戒と同じく、元は天界の役人でしたが、罪を犯してカッパにされてしまいます。
孫悟空たちと罪を償いながら、天竺まで三蔵法師のお供をします。
沙悟浄は、ヘアバンドの上にかっぱのお皿を乗せてあげると可愛い!

ですが、戦いのシーンがあるので、重くなりすぎたり、バランスが取れずに落ちてきたりするのは要注意です。
かっぱのお皿のヒラヒラは、すずらんテープにしてもかわいいです。
沙悟浄は、わかりやすく緑っぽい衣装にすると、子供たちのイメージも湧きやすいでしょう。
沙悟浄の武器は、降魔の宝杖(こうまのほうじょう)というものらしく、半月型の刃がついた槍ですね。
牛魔王(ぎゅうまおう)
悪の妖怪である牛魔王は、元々は孫悟空と仲良しでしたが、三蔵法師の弟子になった孫悟空に息子をやっつけられたので、孫悟空のいうことを聞こうとしません。
らせつ女は、牛魔王の妻です。
牛魔王は、とにかく強い!
牛の角を大きく出した帽子をかぶって、怖さを表現します。
衣装は黒とか紫とか、マントをつけたりして、とにかく不気味な雰囲気にします。

牛、と書いたマークをどこかにつけても面白いですね!
牛魔王には、強そうな刀や斧を持たせると、迫力が出ますよ。
羅刹女(らせつじょ)
羅刹女は、本当の名前は鉄扇公主ですが、日本では羅刹女という呼び名の方が一般的です。
火炎山の火を消すことのできる芭蕉扇を持っていますが、町の人にも貸さずに意地悪をしています。
そして、牛魔王の奥さんです。
羅刹女は、悪女を演出しながらも、子供たちが可愛く演じられるよう、ピンクを主体にするといいかなと思います。
羅刹女は芭蕉扇(ばしょうせん)を持ちます。

芭蕉扇は、火焔山を消すための重要アイテムなので、大きく作るといいでしょう。
火の精(→草の精や住民に変身してもよし)
火炎山を演じるのであれば、火の精役のある台本もあります。
火の精は、牛魔王や羅刹女の家来のように、孫悟空一行との戦いに参加すると良いでしょう。
火炎山は燃えるように熱いので、その表現を火の精に託します。
ぽんぽんで作った火の玉を、腰や肩にたくさんつけてみました。

他にも、オレンジや赤のハンカチをズボンに挟んだりして、炎を表現することもできそうですし、小道具としてハンカチを持つと、病院の幅が広がりますね!
また、火の精の出番が少ししか取れない場合は、火焔山の近くの住民役にしたり、火が消えたあとに草の精にしてみたりと、2役をこなしてもよいかと思います。
お釈迦様とナレーター
火炎山の前の部分を描く時や、最後に天竺へ到着する部分を描く時には、お釈迦様も役を当てるといいでしょう。
大暴れする孫悟空を岩山に閉じ込め、そして天竺へたどり着いた孫悟空一行にお経を与えます。
お釈迦様は、金色の衣装があれば、金色をつかうといいでしょう。
冠も、金色を使うと迫力が出ます。
また、オレンジの帯などを肩から斜めに掛けると、衣装も豪華にすることができます。
出番は少なめになりますので、ナレーターを兼任することも考えられます。

お釈迦様の役のまま、ナレーターをするのも面白いです(^^)/
大道具のアイデア
最後に、どうしようかと頭をひねる大道具などのアイデアを紹介していきます。
そんごくうの劇が楽しくなる工夫を集めてみました。
筋斗雲(きんとうん)
筋斗雲は、孫悟空の代名詞。
私が劇をした時は、段ボールを紐で引っ張って筋斗雲を登場させてみましたが、引っ張っている時間が間延びするので、ひとっとびしている感じを出したいですね。
あらかじめ、舞台に裏返しにして筋斗雲パネルや乗り物を置いておき、「来い、きんとうん!!!」と叫んでから、自分で持ってみるのもいいかなと思います。

また、筋斗雲の表現が難しい場合は、始めにナレーターに筋斗雲の小さなパネルなどをもってもらい、「筋斗雲に乗ることが得意な孫悟空」として紹介するのも、面白いと思います(^^)/
火炎山(かえんざん)
火炎山は、まずは大きな段ボールで、緑の山を作ります。
その上から、大きな赤い布をかぶせ、画用紙で作った火の玉などを貼って、火の山を演出します。
火を布で表現しておくことで、芭蕉扇を仰いで火を消した時に、火炎山が段々と山が緑になる様子も表現できるし、場面の転換もスムーズに行えると思います。
変身合戦
孫悟空と牛魔王は、互いに大きな動物に変身して、戦いを繰り広げます。
変身合戦をするときは、被り物や衣装を着替えて戦う方法が面白いです。
着替えに時間がかかるのがデメリットですが、変身した様子が分かりやすく、着替えてしまえば大きく動くことが出来るので、戦いに迫力をだすことが出来ます。

孫悟空役と牛魔王役を何人か配置して、順番に袖で着替えると面白いですよ。
太鼓やシンバルを使って
そんごくうは、中国のお話です。
中には変身した竜を出すこともあるかもしれません。
そんごくうの劇を盛り立ててくれるのは、太鼓やシンバルの楽器です!
中国の昔話の雰囲気を出すことが出来るし、大きな音で迫力も出ます。
あえて出番の少ない子供を作って、子供たちが自分で太鼓やシンバルで演奏するような見どころアリの劇にしても面白いですね。
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