私立保育園は、社会福祉法人やNPO法人、宗教法人などの公益法人が設立、運営している保育園の事を言います。
一番求人数も多く、多数の保育士が私立保育園の保育士として勤務します。
私立保育園は、運営している団体によって、全く違う保育をしていること、また待遇も園によって大幅に変わることが特徴です。
このページでは、私立保育園で働く保育士の特徴、採用や給与、休暇などの待遇について、紹介したいと思います。
私立保育園ってどんな所?
設立・運営
ほとんどの私立保育園は、同じ団体もしくは関連する団体が設立と運営をしていますが、自治体が設立や運営に関わっている場合があります。
これは、公立保育園の民営化により、自治体が設立した保育園の運営を、民間の社会福祉法人などに託し、公務員の定数削減と運営費の経費削減を目指して行われています。
設立自治体・運営自治体→公立保育園
設立自治体・運営民間→公設民営保育園
設立民間・運営自治体→民設公営保育園
設立民間・運営民間→私立保育園
総合施設の設置主体及び管理運営並びに評価等のあり方について(文部科学省)
また、昔は市町村と社会福祉法人しか設立できなかった保育園ですが、待機児童対策として設立主体制限が撤廃され、今では株式会社なども認可保育園の運営を行っています。
主な運営主体
私立保育園は、民間が設置・運営しますので、その運営主体も様々です。
NPO法人
宗教法人
学校法人
株式会社
待機児童解消のため、株式会社まで保育園の運営に参入できるようになり、業務形態の幅も広がりつつあります。
職員
正職員は、勤める保育園に直接雇用されます。
常勤職員、非常勤職員、パート職員などの非正規職員は、直接雇用されます。
他にも、派遣保育士として派遣会社に雇用される場合もあります。
採用試験
各園ごとに、採用試験の内容もバラバラです。
ただし、公立保育園と比較すれば、私立保育園の採用試験ではこのようなものが多いでしょう。
正職員
私立保育園独自の試験が実施されます。
筆記試験と面接の他に、ピアノなどの実技試験がある保育園も多くなっています。
園によって求められる人材の差が大きく異なります。
例えば、発表会に力を入れている園だと、ピアノが弾けるかどうかが採用に大きく影響します。
逆に、ピアノの実技試験がない場合は、行事では別の先生が弾いてくれたり、CDで伴奏を流す園もあると思います。
就職の前に、どのような園なのかを考え、採用試験に臨むことが大切です。
非正規職員
難しい試験はなく、面接のみの簡単な試験であることが多いです。
ただ、長時間パートの常勤職員であれば、実技試験がある場合もあります。
受験資格
受験資格は、もちろん保育士の資格です。
業務形態によって、他の資格が必要だったり、保育補助として保育士資格がなくても働ける場合もあります。
正職員
保育士職員として働くのであれば、保育士資格は必須です。
事務員や用務員などは、保育士資格がなくても受験できる園が多くなっています。
また、園が独自に設定した受験資格を満たせば、受験することができます。
また、幼稚園教諭を持っていると有利になる園もあります。
非正規職員
保育士資格が必須の枠と、無資格でも働ける枠があります。
全職員、保育士資格を持つ者で構成されている園もあれば、保育士確保のために無資格でも保育補助として採用している園もあります。
早朝保育や延長保育に、無資格の職員を多く配置している園もあります。
私立保育園の待遇
私立保育園で働く場合、もちろん待遇も様々です。
公立保育園と比較すると、ある程度の特徴は見えてきます。
勤務地
基本的には、受けた保育園で雇用されることになります。
ただし、姉妹園など複数園運営している保育園だと、姉妹園に異動という場合もあります。
姉妹園が同じような保育をしているとは限りません。
姉妹園でも雰囲気が異なっていて、異動となった時にやめてしまう先生もいます。
給与
運営者や各保育園によって、規定された給料になります。
ただ、運営母体や保育園の規模によって、私立保育園の中でも、給料が低い保育園と、給料が高い保育園があり、大きな差が出ています。
休日・休暇
正職員は日曜日の他に、土曜日は交代で休みます。
土曜日は月2回出勤というところが多いです。
常勤職員やパート職員であれば、週休2日が定められている保育園もあります。
ただし、仕事上、どうしても行事の時は土曜日や日曜日に行われるので、行事の日はパートなどの非正規職員も、休日出勤しなければなりません。
有給休暇はあっても取得しづらい雰囲気のところもあれば、労働者の権利としてしっかり休暇を取れる保育園、夏の間に夏期休暇として順番に有給休暇を取得するような保育園もあります。
昨今の流れでは、有休消化に力を入れている園が多いと思います。
私立保育園の特徴
私立保育園ってブラックなイメージがあるけれど…実際はどうでしょう。
私立保育園の特徴をみていきましょう。
各園に独自性がある
行われている保育の内容は、それぞれの園で独自に決められています。
よって、各園によって様々な保育が行われており、差別化が図られています。
のびのびとした保育、自然を大切にする保育、行事に力を入れる保育、お勉強などの教育に力を入れる保育など、時には保育所保育指針から程遠く離れる保育もあります。
こんな保育がしたいという思いがあるなら、保育方針の合った園を選ぶことができるのも、私立保育園の良いところです。
ただ、極端に行事などに偏った園もあり、準備に追われるなど保育士の仕事量が増えている園が多いのも事実です。
正職員は週休2日が確保されていない
やはり、お休みの面で、福利厚生が整っているとは言いづらい傾向があります。
園によってばらつきがあり、有休消化率が高い園もあれば、あってないような有給休暇制度の園もあります。
土曜日も保育がある園がほとんどで、2週間に1回は土曜日に出勤しなければならない保育園がほとんどです。
非正規職員であれば、平日のみの雇用契約になっている園もあります。
しかし、昨今の保育士の労働環境改善の観点から、正職員であっても、ちゃんと週休2日取ろうとする動きのある園も少なからずありますよ。
お給料が少ないことが多い
私立保育園は、公立保育園の保育士に比べて給与は低くなっています。
採用されたばかりのお給料に差はあまりないのですが、やはり公立保育園には昇給の幅が大きいので、勤続年数が長くなればなるほど、お給料に差が開いてくることがおおいです。
しかし一方で、社会福祉法人だけでなく株式会社なども保育園の運営に参入してきています。
財力のある私立保育園だと、公立保育園よりも高給ということもありえます。
都市部の慢性的な保育士不足の地域では、保育士に手厚い補助金が賄われており、私立保育園と言えども地域格差が大きく出てきています。
異動がなく、上司の入れ替わりがほとんどない
異動がないのはメリットにもデメリットにもなります。
とてもいい上司や先輩に恵まれた園であれば、ずっと続けられる園になります。
ただ、合わない上司がいたり、いじめのある園に採用されてしまうと、上司が辞めない限り、自分が辞めるしか逃げる方法がないからです。
また、異動がない私立保育園は、上司もずっと同じ環境で保育をしてきた事になります。
ここの保育を変えたいと思っても、園の方針として変えさせてもらえないこともあります。
保育士不足で採用が比較的多い
近年の女性の社会進出に伴い、保育園に預ける子供が増え、定員オーバーの子供を受け入れている私立保育園も多く見受けられます。
私立保育園は受け入れた子供の数が多いほど、補助金も受け取れるからです。
ただ、受け入れようにも、児童福祉施設最低基準によって決められた保育士が確保されなければ、子供を受け入れる事ができません。
そこで、正職員も非正規職員も、常に募集があり、採用のハードルも低くなっています。
こんな人は私立保育園にメリットがあります
こんな人は、私立保育園で働くメリットがあります!
自分にあった園に巡り合えることが、長く続ける秘訣ですね。
保育士という一つの仕事ですが、園によって行われていることは様々です。
今いる園に不満があるのであれば、一度転職して、他の園で勤めてみましょう。
もっといい保育に出会えるかもしれませんよ☆
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